ひーちゃん先生の今日のつぶやき in 治療院

 ~置き去りにされた踵骨さん~

日々の施術の中で、時に患者さんの身体のどこかから激しい叫び声を聞く時があります。最近、印象的だったのは踵からの叫びでした。

腰痛と足の痛みで来られた方でしたが、「何処に行っても、原因は腰だといって、腰ばかり治療されていたけれども、一向に良くならない」というのです。

確かに神経学検査をすると、腰の神経圧迫の兆候が見られます。

・・・でもここが本当の原因だろうか?と思った矢先、足の方から叫び声が聞こえてきました。

「おーい!何とかしてくれ~!」踵骨さんでした。

私は踵骨さんの話を聞くことにしました。

「どこの治療に行っても、み~んな腰が原因だ!原因だ!って。腰ばかりに目を向けてさ!僕がこんなに叫んでいても、無視なんだよ。

僕は‥、僕は‥もう限界だったんだ。」

それもそのはず。踵骨さんは、内側に倒れ、足首はぐらぐらになっています。

踵骨さんは置き去りにされ、彼の話を聞いてあげたのは、どうやら私が初めてのようでした。出会えて良かった。

私は、踵骨さんに「あなたの気持ちは、ちゃんとご主人様に伝えるからね。」と

言って治療を始めることにしました。するとご主人様は、学生時代に酷い捻挫をしたことを話してくれました。

踵骨さんは、その捻挫した時の捻じれを、ずっと引きずっていたのです。

足首は身体を支える土台です。今はその部位に痛みがなかったとしても、安定しない状態が続くと、それはいずれ腰痛や様々な症状の原因になります。症状が多く重なると、原因は更に分かりにくくなります。

踵骨さんの気持ちをお話すると、ご主人様は申し訳なさそうに答えました。

「私は、いつも仕事で結果を出すことばかりを考えて、踵骨さんや、自分の身体のことなんて、考えたこともなかったのです」と。身体と心が離れて、対話ができていなかったのですね。

それから、患者さんの症状は落ち着いてきています。

あなたは、ご自身の身体とのコミュニケーションできていますか?