長いコロナ禍の後、ご年配の方々が筋力低下のため、すっかり元気を失くしてしまったのを感じています。そう感じておられる方も多いと思います。しかし、素晴らしい復活をされ、パワーを頂ける症例もあります。
今日は、そのひとつをご紹介しましょう。
80代の女性で、変形性膝関節症で通われていた患者様です。
彼女は、長いコロナ禍の行動制限の中で、すっかり筋力が低下してしまい、
膝症状が悪化し、両膝関節の手術を選択されました。手術は問題なく終えて、リハビリも頑張り、やっと車椅子や杖を使わずに歩けるようになった矢先でした。
階段を踏み外し、まさかの転倒。
股関節の骨折でした。そして、また手術になりました。
彼女からのお電話の声は、落胆と深い悲しみがあり、その経緯を診させて頂いてきた私も胸が苦しくなりました。
ようやく股関節の手術を終え、ご来院された時、彼女は私に語ってくれました。
「先生、私は夢があるんですよ。
私は今まで、ずっと専業主婦をしてきました。でもね、一度だけ自分で稼いで本当に欲しかった着物を買ったことがあるんです。生涯で自分で買った服はそれひとつだけ。
でも、その着物を着たことがないんです。いつかその着物を着て、晴れ舞台に立ちたい。そのために頑張ってますねん。」
私は、彼女の夢を叶えてあげたいと思いました。
彼女のスケジュールは、病院、当院、週2日のデイサービス、ご家族の協力を受けながら本当に頑張るその姿に、私はいつも感動していました。
そして、とうとう彼女にやってきた晴れ舞台。
お孫さんの結婚式です。
彼女は、ご家族が見守るなか、杖も使わず2本の足で無事に結婚式に出席されたのです。
「せんせ、着付けの仕方が、昔とはえらい違ってましてね~。」
と、当日の様子を語って下さる表情に、以前の苦悩の面影はなく、私はただただ拍手を贈りました。
コロナ禍での著しい筋力低下と酷い膝痛、そして手術、まさかの転倒と大手術
大きな苦難を乗り越えて、彼女は今も2本の足で暮らしています。
「自分が稼いだお金で買った、たったひとつの着物を晴れ舞台で着ること」
彼女の未来からきた願いだからこそ、大きな癒しの力が働いたのですね。
あなたの癒しへの取り組みは、未来から来ているでしょうか?